2012年2月

懐かしい界隈へ

昼休みに抜け出して植松知祐展を訪ねた。少し寒いけど日差しのあるマチ散歩を兼ねて。案内ハガキを頼りに行くと、懐かしい界隈だった。半世紀以上前の遊びエリア円形の南西境界。いろんな仕掛けで遊ばしてくれた警察博物館。今思えばけっこう悪ガキも混ざって通っていたからおもしろい。遊び場所としてどーなんだか、っていう心持ちも、うっすら残っているから、なおさら懐かしい。ギャラリーはその並び。迷うことはない。通りから覗いて見える地下の壁面から彼のピンクが飛び出してきた。

 

年末に親しんだ作品も展示されているけれど、新、旧作を含めて、トータルに鑑賞すると、随分印象が異なって見えてくるから不思議だ。作家と話しながら、学生時代の作品をふくむポートフォリオをじっくり見せてもらう。初期の群像劇のような描き込みから、どんどん削っていって、シンプルになり、そして今展は、作家も言ってたけれど、少し、また描き込みへと向かうターニングポイントのように思われた。いずれにせよ彼の奮闘ぶりが確かに伝わってくる展覧会だった。

 

階段を昇って地上へ。あたりは古いビルの並び。やっぱり懐かしい風景のままだ。日本橋から銀座、路地へ入ればそこかしこ昔のまんまだ。(M・U)

 

 

 

2012_0227_142023-R0011348.JPG        左の二点が新作。

 

 

2012_0227_142040-R0011349.JPG       植松知祐展「知らずして」 2月27日から3月10日まで 日曜休み 11時から19時(最終日17時)

       ギャラリー ビー トウキョウ 03-5524-1071 中央区京橋3-5-4吉井ビルB1

ボサノヴァCD流し放しにして、ひたすらエスキースしてます。でも何も浮かばない。手癖で犬描いちゃってます。(M・U) 2012_0217_152002-R0011341.JPG 2012_0217_151919-R0011340.JPG 2012_0217_151811-R0011339.JPG

京橋から銀座を浮遊。

ぐずる風邪っぴきをマスクで抑え街へ這い出た。懐には案内ハガキの数枚。まずは今野治個展「浮上する風景」へ。タイトル作品、小ぶりながら、かっちりした造形。閃きのように同系の重なる色遣い。抽象的具象。あらゆるモノ巻き込んで街路を無言で突き進んでくる津波のマッス。冷徹に見届けるしかない。正面から。

ギャラリー檜BC 中央区京橋3-9-9 2階 1月31日から2月4日

 

画廊主に「是非に」と勧められ、立体の安茂、平面の安ちか子両展へ移動。目に飛び込んできたおおらかな木彫の手形。二抱えはありそうな数本が床から生え、まるで「やっ!」と声を発するかのよう。壁一面には版画原版のようなレリーフシリーズ、ごく薄いボックスアートが連続する趣き。内容物のごく一部にオフホワイトが塗られている。あまりにも作家の解説が面白く、少し後ろ髪引かれる思いで「楽園」をあとにする。 

ギャラリー檜plus 中央区京橋3-9-2 3階 1月30日から2月4日

 

ついで隣接画廊へ。閉じられた小窓からただならぬ気配が染み出ていて、思い切って押し開ける。待ち構えていたかのように端から作品を解説してくださる浅野修さん。小さな画廊空間が彼方の大地を彷彿とするように拡張し始める。心の端子がどきどき振幅を強める。帯広からそのまま農機具やら馬具やらを転写し移設、錆び、ひしゃげ、反り返ったり、欠けたりの形態、陰影が藍色に縁どられること、すっと腑に落ちる。「こちらもどうぞ」と招かれた控室の壁には所狭しと小品の展示。作家の居間にお邪魔したような気分。すべてモノトーンの位相から妖しい背後の色彩がかすかに滲み出している。繊細で鋭角。 それはECMの音楽的ハーモニーに似る。

K'Sギャラリー 中央区京橋3-9-2 3階 1月23日から2月4日

 

辿りついた画廊はクロス壁の釘穴を見るだけでも強者どもの歴戦の場所。第47回昭和会展。栄えある「招待作家」渡辺有葵氏のハレを観に来た。新作50号、なんでこんなに光を放っているのだろう。構図のど真ん中から。暮れからこのかた「引きこもり」を徹底し、寝る間も惜しんで筆を奮ったおかげさまだって。東北芸術工科大学院、原田圭さんの「お椀雨」に胸を打たれる。パーティーの席で橋本くん、青山さん、葛巻さんに会う。著名な先生方、有望株若手のみなさん方しばし歓談。

日動画廊 中央区銀座5-3-16 1月31日から2月9日